学会にまつわるインボイス対応を解説!

2024.06.30

2024.07.31

学会が開催するイベントの性質によっては、インボイスの発行が必要になる場合があります。

この記事では、そんな学会にまつわるインボイスについて解説していきます。

そもそもインボイスとは

インボイス制度とは、2023年10月から導入された新しい消費税の申告制度で、複数の税率に対応し計算ミスや不正を防ぐことを目的とした制度です。

インボイスとは「適格請求書」のことで、この制度では詳細な記載事項が必要です。

この制度が導入された背景には、現行制度の「益税」の問題を解消する目的があります。

益税とは、消費者が事業者に支払った消費税が事業者の利益となり、納税されない現象を指します。

特に、売上高が1,000万円以下の免税事業者は消費税を納める義務がありませんでした。

しかし、課税事業者が免税事業者に支払った消費税額を控除することで、益税が発生していました。

インボイス制度が導入されると、適格請求書を発行していない事業者からの仕入れに対しては、仕入税額控除が受けられなくなります。

学会の参加費はインボイス対象か

学会への入会金や会員の年会費については、消費税がかかりません。

そのため、インボイスの対象とはならず入会金の支払い時や会員になる際の年会費の支払い時にはインボイスが発行されません。

インボイスは、新しく導入された消費税の申告制度であるため消費税が非課税の学会の年会費や参加費、入会金にはインボイスの発行義務はないです。

消費税は通常、商品やサービスなどを提供した対価性がある時に課税されるものです。

ただし、学会などの年会費は学会を運営するための資金として使用されるため、一般的に学会の年会費は対価性のある取引ではないとされ、消費税は発生しません。

また、学会ごとに適格請求書発行事業者に登録している学会としていない学会があるためインボイスが必要な場合は確認するとよいでしょう。

学会誌等の購入はインボイス対象か

有償の学会誌配布や購入は、消費税の課税対象となります。

また、会費収入として費用を集めている場合も実態として学会誌の購読料の対価としての意味合いを持つ場合、消費税の対象となります。

そのため、学会誌の購入等はインボイスの対象となり適格請求書発行事業者の場合はインボイスを発行する必要があるでしょう。

また、抄録集などの販売についても消費税の対象となるため注意が必要です。

セミナー・シンポジウムはインボイス対象か

イベントの性質がセミナーやシンポジウムの場合、参加費用には対価性があると考えられるため消費税の対象となります。

ただし、学会会員の参加費については学会活動の一環として考えることもあり場合によっては不課税として処理することもあります。

インボイスの記載事項

インボイスの必ず記載しなくてはならない事項は、下記の6点です。

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

②課税資産の譲渡等を行った年月日

③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)

④課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率

⑤税率ごとに区分した消費税額等

⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

発行する際には、抜けなく記載しましょう。

インボイスの発行方法は?

インボイスの発行方法には、紙ベースと電子データの両方があります。

紙ベースでインボイスを発行する場合、既存のフォーマットを使用する際には、インボイスに必要な事項を追記してから発行します。

新たにフォーマットを作成する際は、インターネット上で提供されているテンプレートを利用するのも良い方法です。

現行の手書き領収書などを使用する場合は、登録番号などを記載する「ゴム印」を作成して押印することで対応することが可能です。

また、インボイス制度に対応した請求書や領収書も販売されています。

紙ではなく電子データでインボイスを発行することも可能です。

電子データでのインボイス発行は、手間や時間がかからず人為的ミスやデータ改ざんの防止といったメリットがあります。

さらに、電子データ管理によりファイリング作業や保管スペースが不要となり、コスト削減が可能です。

取引相手への電子データによるインボイスの交付は、電子メール(添付ファイル含む)による提供、インターネット上のサイトを通じた提供などがあります。

これらの方法を用いることで、インボイスの発行・交付を効率的に行うことが可能です。

まとめ

インボイスは、消費税に関わる制度であり学会を運営する上で対応の必要が出てくる場合もあります。

また、学会に関わるインボイスの発行は複雑な部分もあるため、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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