研究開発費は経費になる?

2024.06.23

2024.07.31

研究開発費は企業や個人が研究をし、新たな技術を発掘するためにかかった費用を指します。

この記事では、そんな研究開発費の経費計上について解説していきます。

経費とは

経費とは、事業運営において必要な日常的な費用のことであり、収益を得るために支出される費用のことです。

そういった費用は、企業が事業活動を行う上で不可欠であり、税務上でも控除の対象となることが多いです。

一方で、長期的な資産購入や借入金の利息、租税公課などは経費には含まれません。

正確な経費の計上と管理は、企業の財務の透明性を高めるだけでなく、節税対策にも寄与します。

研究開発費とは

研究開発費は、新製品や新技術の開発および既存製品の改良にかかる費用を指し、主に人件費、原材料費、設備費が含まれます。

研究は新しい知識の発見を目指し、開発は新製品や改良品の創出が目的です。

研究開発費は発生時に全額費用として計上され、繰延資産として扱われることはありません。

これは、研究開発が必ずしも利益に結びつくとは限らないためです。

また、法人税額控除制度により、企業は研究開発費の一定割合を法人税額から控除できます。

控除は通常、試験研究費の増加分に対して最大25%まで適用可能です。

さらに、中小企業技術基盤強化税制やオープンイノベーション型制度など、特定の条件を満たす研究開発には追加の控除が適用されることもあります。

開発費とは何が違うのか

研究開発費は企業が新しい知識を発見するために行う計画的な調査研究や、その成果を新製品や既存製品の改良に活用するための費用です。

一方で、開発費は市場開拓や新技術の開発を目的とした費用であり、将来的に利益をもたらすことが期待されるため、繰延資産として計上することができます。

この違いにより、研究開発費は即座に費用として処理されるのに対し、開発費は資産として計上され、後に費用として徐々に配分される特性があります。

研究開発費に該当するものは?

研究開発費は、新製品や新技術を開発するために発生する費用で、具体的には以下のようなものです。

1.新しい研究技術や研究発想を得るための調査や研究にかかる費用。

2.新知識を製品や業務に活用するための活動費用。

3.現行製品と大きく異なる製造方法を具体化するための費用。

4.新しい方法で原材料や部品を使うための具体化する費用。

5.既存の製品や部品の新たな使用方法を具体化するための費用。

6.工具や金型等を新たな方法で使用するための具体化にかかる費用。

7.新しい技術を使った試作品の制作、実験、設計にかかる費用。

8.商業生産を前提とした試験的プラントの設計・建設にかかる費用。

9.既得特許を活用して新たな製品を製造するための活動費用。

研究開発費に該当しないものは?

研究開発費には含まれない費用には、研究・開発活動に直接関連しないものが挙げられます。

以下がその具体例です。

1.製品を大量生産するための試作にかかる費用。

2.製品の品質管理活動や完成品の検査にかかる費用。

3.不良品の修正や再加工にかかる費用。

4.製品の品質向上や製造工程の改善活動にかかる費用。

5.既存製品の不具合修正や顧客の要望による設計・仕様変更にかかる費用。

6.通常の製造工程の維持にかかる費用。

7.機械設備の移転や製造ラインの変更にかかる費用。

8.特許権や実用新案権の出願にかかる費用。

9.外国などから技術を導入して製品を製造するための費用。

これらの費用は、日常的な製造活動や品質管理に関連するものであり、研究・開発活動としての性質を持たないため、研究開発費には含まれません。

研究開発費の経費計上方法は?

研究開発費は、発生時点で費用として計上することが原則です。

外部委託した研究開発の費用も、自社で検収し、利用可能と判断された時点で費用として処理します。

契約金などは前渡金として処理し、実際の利用時に費用計上してください。

新製品の計画や設計、既存製品の大幅な改良にかかる費用は一般管理費として扱いますが、医薬品等の製造現場で発生する研究開発費は製造原価に含めることもあります。

この際、研究開発費の範囲を明確に定義し、費用計上の不備を避けることが重要です。

また、研究開発費の開示にあたっては、一般管理費および当期製造費用として発生した額を総額で注記し、詳細な内訳を記載します。

特に、医薬品等製造現場での研究開発費が製造原価に含まれる場合、その範囲の明確化が必要であり、期末仕掛品として資産計上されることがないよう注意します。

これにより、研究開発費を適切に経費計上し、企業の財務状況を正確に反映させることが可能です。

まとめ

研究開発費は、正しい知識を持ち正しく処理をすれば経費計上することができます。

ただし、どこまでが計上範囲となるのか分かりにくい部分もあるので税理士への相談がおすすめと言えるでしょう。

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