予稿集(アブストラクト)の書き方とは?

2024.09.30

2024.10.12

予稿集(アブストラクト)は、経験が浅かったり作成のコツが掴めていないと作成時間がかかる場合があります。

この記事では、そんな予稿集の書き方と素早く作成できるコツについて解説していきます。

※以下アブストラクトと表記

アブストラクトとは

アブストラクトとは、論文の要点を短くまとめたものであり、その役割は非常に重要です。

多くの場合、論文の全文を読む前にアブストラクトだけを確認する読者が多いため、アブストラクトが論文の内容を的確に伝え読者の興味を引くことが求められます。

また、アブストラクトは通常100語程度と短いことが多いですが、その中で簡潔かつ正確に論文の主旨を説明し読者に「もっと読みたい」と思わせる魅力的な内容に仕上げることが必要です。

アブストラクトの基本的な型

アブストラクトの基本的な型は、主に以下の8つのセクションで構成されます。

1.タイトル•著作権情報:アブストラクトに付けるタイトルと、論文の著者名や所属機関の情報を明記します。タイトルは簡潔でありつつ、内容を的確に伝えるものにします。

2.背景:研究が行われた背景や動機を説明します。なぜこの研究が必要であったのか、何が問題であったのかを簡潔に記載します。

3.課題:研究で解決したい具体的な課題を説明します。既存の問題点やギャップが何であるかを明確にします。

4.提案手法:その課題を解決するために用いた方法やアプローチについて説明します。新しい手法やアプローチがある場合は、それを強調します。

5.実験方法:どのような手法やアプローチを用いたのかを簡潔に説明します。実験や調査の具体的なプロセスを明示します。

6.結果:実験や調査で得られた主要な結果を示します。結論に繋がる重要なデータや観察事項がここに含まれます。

7.考察:得られた結果について、その意義や解釈を述べます。結果が示唆することや、それに基づく考察を簡単にまとめます。

8.引用:参考にした文献や資料を記載します。これにより、研究の信頼性を高めることができます。

これらのセクションを理解しておくと、初めてアブストラクトを作成する際もスムーズに進めることができ、効率的に内容をまとめることが可能です。

また、アブストラクトは上記の型を基本に下記の順番で書くとスムーズに素早く作成することができます。

  1. 実験方法
  2. 実験結果
  3. 考察
  4. 背景
  5. 課題
  6. 提案手法
  7. タイトル・著者情報
  8. 引用

アブストラクト作成のコツ

ここからは、アブストラクト作成のコツについて解説していきます。

作成は論文を書き終えたタイミングで

アブストラクトは、論文を全て書き終えた後に作成しましょう。

完成した論文から重要な要素を抽出することで、論理的な流れを持った一貫性のあるアブストラクトを効率的に書くことができます。

論文の核を短く凝縮し、魅力を伝えられるようにしましょう。

アブストラクトのバランスを意識する

アブストラクトの一般的な構成は、イントロダクション、方法、結果、結論(IMRAD形式)に基づいています。

それぞれの割合も重要で、イントロダクション25%、方法25%、結果35%、結論15%が推奨されます。

このバランスにより、論文全体の概要をコンパクトに伝えることが可能です。

要点を絞る

限られたワード数の中で、論文のすべてを伝えることはできません。

そのため、特に重要で意義のある結果だけを抜き出し、焦点を絞ることが大切です。

また、アブストラクトには本文に書かれている情報のみを盛り込み、追加の新しい情報は避けるようにします。

略語や専門用語の使い方には注意

頻繁に使用される略語や一般的に浸透しているもの以外は、略語の使用は控えましょう。

略語を使用する場合は、最初に正式名称を提示し後に略語を使うようにします。

アブストラクト内で定義した略語は、本文でも再度定義することを忘れずにしましょう。

アブストラクトの最終チェック内容は?

ここからは、アブストラクトの最終チェック内容について解説していきます。

独立した短編論文として完結できているか

アブストラクトは論文全体の要約であり、それ自体で一つの短編論文のように完結している必要があります。

映画の予告編のように期待感だけを煽り、肝心な内容が欠けていることがないようにしましょう。

本文を参照せずに内容がわかるか

アブストラクトは、読者が本文を読まなくても研究の概要と意義が理解できるように書かれるべきです。

そのため、本文内の図表や文献に依存することなく、アブストラクトだけで完結する表現にすることが重要となります。

たとえば、「Figure 1参照」などの記述や文献番号([1]など)による引用は避け、代わりに著者名や出版年などを簡潔に記載します。

本文に無い情報を記載していないか

アブストラクトは論文の縮小版なので、本文に書かれていない情報を含めてはいけません。

論文の重要な内容を抜粋し、その要点のみを載せることが求められます。

結果を過度に詳述していないか

結果をすべて盛り込みすぎていないかの確認も重要です。

アブストラクトに含めるべきは、研究の合理性を示すために必要な「メインリザルト」です。

多くの結果が得られていても、メインのストーリーを曖昧にしないように必要最低限の結果に絞ることが大切になります。

まとめ

アブストラクトは、相手に伝わるものにすることが重要です。

今回ご紹介したコツを押さえて、作成していくとよいでしょう。

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