企業による学会発表のメリットとは?

2024.01.24

2024.07.31

学会では、高い技術力を持った企業が学会発表を行う場合があります。この記事では、そんな企業による学会発表のメリットについて解説していきます。

企業が学会発表をする理由は?

自社技術を競合他社に公表することになる企業の学会発表は、なぜリスクがあるのにもかかわらず行われるのでしょう。

ここからは、企業が学会発表をする理由とメリットについて解説していきます。

教育機関への認知度のアップ

企業側が学会発表をする理由のひとつとして、大学などの教育機関への認知度をアップさせるというものがあります。

企業として、直接的に売上と直結しない基礎的な研究は大学などの教育機関へ任せたい部分でもあるでしょう。

大学側としても産学連携で得るものは多く、学会発表に企業が参加することにより大学などの教育機関がその企業を認知することに繋がります。

また、企業にとっては技術系の学生が多くいるような場で学会発表をする場合、リクルート活動にも繋がってきます。

企業が学会発表を行う事で認知度が高まり、就職活動時に就職先の候補として選ばれる確率も上がるでしょう。

顧客の獲得

企業における学会発表は、顧客の獲得にも繋がります。

有名な学会での発表は、特定の分野でリードしている企業だということを顧客にアピールする事が可能です。

ただし、単に発表するだけではなく、顧客にとってすごい技術であると印象づける必要があります。

この印象がなければ、顧客の関心を引きつけられず製品の採用には繋がりません。

学会の聴講者には企業の人物もいるため、社内での説得に必要な技術の優れた点を理解させる必要があります。

社員教育を兼ねている

多くの日本企業には、修士卒業の学生が研究職として入社してきます。

その場合、学会発表や外部への発表経験が無い、もしくは少ない事が多いため社員教育を兼ねて学会発表が使われている側面もあるでしょう。

企業が学会発表を行うメリットは?

企業が学会発表を行うメリットは何でしょう。ここからは、そんな企業が学会発表を行うメリットについて解説していきます。

査読なしで成果を主張できる

企業が研究成果を発表する主な目的は、成果を公開して注目を浴び、自社の製品やサービスの拡販に繋げることです。

学会での発表は査読なしで行われるため、企業はスムーズかつ自由に成果を公表できる点がメリットです。

同業者からの客観的な評価を得る目的もありますが、それはあまり重要視されていない傾向があり、科学的な議論よりも成果を公開することが重要視されています。

業界情報の取得ができる

企業が学会発表の場に参加することにより、業界情報を取得する事ができることもあります。

特に記者であったり、他社の研究者は長年その業界にいることも多く一部の人しか知り得ない情報を持っていることもあるでしょう。

また、大学教授にも情報が集まってきていることも多く、接点を持つことで普通の会話から業界情報を聞き出せる可能性もあります。

プロジェクトの進捗を見える化できる

長期の研究開発プロジェクトでは、コンスタントに成果を上げる必要があり、その成果を見える化する手段として有名学会での発表が効果的です。

特に長期プロジェクトでは、研究費の回収が不安視されることがあり、有名学会での発表は投資を納得させる手段のひとつとなります。

これは学問を追求する人にとっては不快に感じられるかもしれませんが、大学や研究機関も研究成果を学会や論文誌を通じて見える化することで、次年度の研究費を獲得している実情があり似たような側面があります。

企業が学会発表を行う条件

企業の学会発表は、目的やメリットがあると言っても当然条件ありきです。

ここからは、企業が学会発表を行う条件について解説していきます。

技術的優位性

学会発表する技術について優位性がなければ、顧客やパートナーの心を動かし、ビジネスに繋げることはできません。

そのため、技術的優位性があるかどうかは学会発表を行う上で重要な条件となります。

特許出願済み

学会発表を通じて自社の技術を発表したため、他社に真似をされてしまっては学会発表の意味がありません。

そんな真似を防ぐため、学会発表前には特許の出願をしっかりと行い、他社から真似されないような対策を取る必要があります。

念の為に他社が似たような製品をリリースした際には、リバースエンジニアリングを通じて学会発表をした自社の特許が使われていないかを確認する必要もあるでしょう。

万が一特許侵害が見つかった場合、特許利用料が発生したりするため、特許の申請は真似を防ぐための大きな抑止力に繋がります。

まとめ

企業の学会発表は、大学の学術研究者とはまた違った意味合いを持つ場合があります。

企業が利益を追求することは当然の活動であり、学会発表では様々な思惑があることを頭に入れておきましょう。

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