学術大会運営 失敗しないパートナー選定ステップガイド 4/4(全4回)〜「学会事務局支援」型パートナー〜

2023.06.11

2024.07.31

学会事務局を支援して、学会の大会や学術会議を開催に導く方法は数多くあります。 規模や参加者数に応じて、事務局の仕事も随分と変わってきます。 開催地やセッションの運営スタイルで例年の手法では馴染まないケースも出てくるでしょう。 学会運営に「総合システム」を導入している場合でも、プラスアルファのソリューションが求められる場合には何を考えれば良いでしょうか。 このような時に心強いのが「学会事務局支援」型のパートナーです。

1.学会開催「学会事務局支援」パートナーとは

大手のコンベンションビューローでは、国際会議の開催やサミットのような大会規模なイベントの招致までを手掛けています。
学術団体の大会や学会の全国大会、地方大会では大きな大会でも参加者数が数十から数百くらいの規模がいくつも開かれることも多いものです。
関東大会や関西大会、地方支部の学術研究会など、それぞれの場所や開催規模に応じて学会事務局を支えてきた企業や団体は数多くあります。
このカテゴリーの「学会事務局支援」型の提供パートナーが一番多く、母体となる事業によって支援できる範囲に大きな違いがあるので注意する必要があります。
総合システムを既に導入済みの学会が、トッピング的に追加できるサービスを選択するときに依頼するパートナーです。

2.「学会事務局支援」ソリューションの特徴

例えば、開催場所が地方の郊外にある大学や研究施設では、宿泊施設の確保や会場までの移動手段が課題です。
地方都市では路線バスの時間がセッションの開始時間に噛み合わない場合や終了時間帯で、バスに乗車しきれない時もあります。
そのような場合にはバスのチャーターや路線バスの増便の交渉などをしなければなりません。
こんな時に旅行会社やイベント会社を母体とした企業では、お手のもので解決してくれます。
また、学会設立の節目(30周年や50周年など)の時に発刊される記念論文集や、学会メンバーがノーベル賞のような特別な賞を授与された場合などに発行される出版物は、大変な作業を伴います。学会大会に間に合うように用意する場合は、通常の大会開催業務の他に、この作業が付加されますので事務局は忙殺されることでしょう。
このようなケースでは、印刷・出版を手掛けてきた事務局支援型の企業であれば、編集から原稿の収集、修正依頼や本のデザインまでお任せできます。国際会議の場合には、講演会やセッションの同時通訳や予稿集の翻訳などの業務も発生します。論文は専門領域の、その分野の研究者でないと翻訳ができない場合があります。
このような場合でも粗翻訳を事務局パートナーに依頼して、最終校正を当該研究者にお願いするなどの分担作業も可能です。
したがって、学会開催のベースとなる仕組みは「総合システム」型ですが、開催地や開催年の特殊性に合わせて、特化した得意分野のパートナーの力を加えることで難局も乗り越えられます。

3.「学会事務局支援」提供主要パートナー

国内には「学会事務局支援」型を提供する主要パートナーが149社あります。
ここでは、特徴的なソリューションを提供できるいくつかの企業を紹介します。企業名と支援活動の得意分野です。

3.1.株式会社ソウブン・ドットコム

学会事務局代行、学会誌発行サポート、学術大会支援、学会ホームページの制作を柱として、各種ソリューションを提供しています。
学会専門のサポート企業として80年以上の実績と信頼を誇り、450以上の学会・協会を支援しています。名実とともに国内No.1の学会事務局支援パートナーです。
創文印刷工業株式会社を前身とする印刷を得意分野とする企業です。学会の運営や大会開催に欠かせないのが抄録や論文集の制作です。単に印刷だけではなく、編集や査読管理までのサポートが受けられます。

URL:https://www.soubun.com

社名:株式会社ソウブン・ドットコム
所在地:〒116-0011 東京都荒川区西尾久7-12-16

3.2.株式会社毎日学術フォーラム

毎日学術フォーラムは、株式会社マイナビのグループ会社(株式会社マイナビ全額出資)です。
各種学会の委託を受け、事務局業務の全般を代行する学会事務局専門会社です。
学会運営の分析、事業計画、統計管理および広報などに関する資料の企画、収集、作成、発行および管理業務を代行します。また、予算案の策定、帳簿の整理記帳、金銭の出納・決算に関する事務の処理業務も行います。各種行事、式典、会議、講演会等の企画、運営も実施します。
会員に関する情報、会員名簿の管理、学会誌、出版物の編集、発行、販売も業務分野になっています。

URL:https://maf.mynavi.jp

社名:株式会社毎日学術フォーラム
所在地:〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋一丁目1番1号 パレスサイドビル

3.3.中西印刷株式会社

創業、慶応元年、京都の老舗印刷会社です。
学術印刷、大会抄録を得意とし、少部数から大部数まであらゆる印刷のリクエストに応えています。
得意分野はページ物の印刷物や出版印刷物と言われる領域の本や雑誌です。日本で最大級の活字のコレクションを所持し、数多くの古文書や漢籍を印刷しています。
学会業務受託サービスの各種を請けおい、学会の法人化(一般社団法人格の取得)や税務相談も受け付けています。

URL:https://the.nacos.com
社名:中西印刷株式会社
所在地:〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル西大路町146番地

おわりに

「学会事務局支援」提供パートナーの選定は、コアのシステムを「総合システム」で固め、その補完的要素を担ってくれる企業がベターと言えます。
それぞれの企業や団体の得意分野を見極めてサービスの依頼範囲を決めるのが賢明です。
特に学会予算との関係でどこまでが許容範囲かで依頼事項も変わってきます。コアのシステム以外に追加するものが何かを絞り込んで、全体の予算との関係で依頼することでバランスがとれます。
総合システムの追加部分を「学会事務局支援」型パートナーで補うことで、コストを抑えながらも満足度の高い学会開催・運営が実現できるでしょう。
そのためには、「総合システム」型パートナーの選定を先ず行い、それから「学会事務局支援」型パートナーの選定に入りましょう。