学術論文は誰が審査するの?

2024.01.31

2024.07.31

学術論文を評価するために査読が行われますが、この査読は誰が行うルールになっているのでしょう。この記事では、そんな査読を行う人について解説していきます。

学術論文とは

学術論文は、あるテーマに焦点を当て、そのテーマに関する仮説を提案し、その仮説を検証する学術研究の結果を報告する文章です。

学術分野によっては異なる意味を持つものの、広く言えば学術研究者が自らの興味や関心をもとにテーマを設定し、その仮説を探求し結果を明示的にまとめたものです。

これにより、学術論文は筆者の主張だけでなく、学術研究の深さや詳細な内容を読者に伝えることができます。

英語では「paper」「thesis」「essay」として表されます。

査読とは

査読とは、投稿される学術論文をレフェリーと呼ばれる専門家(第三者であること)が読み、学術雑誌やジャーナルと呼ばれるような雑誌へ掲載するのに適合しているかどうかを判断する作業を指します。

学術論文は査読の有無が大切

学術論文は、査読の有無が非常に大切です。

査読は、学術論文が客観的であり、正確に読者に伝わるように保証するために不可欠です。

学術論文の作成は、作者のモラルだけに頼るのは限界があります。査読は複数の専門家が学術論文を精査し、クオリティが低ければ改善を求め、構築的なコメントを提供する仕組みになっています。

また査読は、匿名かつ報酬なしで行われ遠慮のない意見が期待されるため、学問の信頼性を確立するための重要な作業と言えるでしょう。

査読の流れ

論文の査読は、学術誌に学術論文が提出された後に行われるプロセスです。一般的な流れは以下の通りです。

編集チームの審査

学術論文が提出されると、編集者たちが内容や形式を確認します。

雑誌の内容に合わない場合や学術論文の品質に不備がある場合、学術論文の掲載が断られることもあるため、掲載する学術論文と雑誌の系統をあらかじめ見比べておく必要があるでしょう。

査読者の選定

編集者は査読に適した専門家を見つけ、査読の依頼を行います。

査読者は関連分野での実績があり、かつ利害の対立がないことが要求されます。

査読者への依頼

査読者には学術論文の概要や査読の期限などが伝えられますが、あくまでも引き受けるかどうかの判断は査読を任された人の判断です。

この時選ばれる査読者は、2人以上です。

査読の開始

査読者が依頼を受けると、学術論文の全文が手元に送られてきます。

査読者はコメントを付けながら学術論文を精査し、適切な評価や意見を出していきます。

査読者のフィードバックは通常、学術論文の品質や構成に関する指摘や修正点を示すものです。

この流れは、学術誌や学会により異なりますが、査読者と著者の身元が非公開にされるダブル・ブラインド方式が一般的に用いられます。

査読は誰が行う?

一般的な誤解として、査読を行うのは学術分野ごとの専門組織のメンバーと思われることがありますが、実際には現役の学術研究者がほとんどです。

学術論文は最先端の研究成果を扱っており、査読者はタイムリーで正確な情報を持ち、論文内容を判断できる必要があります。

現代の学術界では論文数が増加しており、査読を担当するのは専門組織のメンバーではなく、学術研究者全体の共同作業となっています。

また、先述してあります学術論文は査読する側もされる側もお互いの素性がわからない状態で行われるため個人的な感情で査読が行われることはありません。

査読の後はどうなる?

査読に通った場合、学術論文は学術雑誌に掲載され、出版社が整えた綺麗なレイアウトで最終稿が確認され、出版されます。

一方、査読に落ちた場合は、異なる雑誌に再投稿し、新たな査読を受けることとなります。

リジェクトは厳しいですが、その理由を踏まえて新たな投稿先を見つけて再挑戦することが一般的です。

査読を行うのは人だということ

査読を行うのは、あくまで第三者の専門家であり生身の人間です。

そのため、いくら査読の相手がわからないダブル・ブラインド方式であっても完全に平等な判断が下るとは限りません。

また、報酬無しのボランティアで行われるシステムに支えられているため学会や学術雑誌自体に責任を問うのにも限界があります。

さらには、査読を行うのは学術研究者なので多忙な学術研究者が査読担当者になると学術論文投稿後に遅延することも少なくありません。

それらを前提に、学術論文投稿を行うのと自分自身も査読者になり得るということを知っておきましょう。

まとめ

査読者は、基本的には同じ学術分野の専門家や学術研究者です。

査読を行う特別な団体があるわけではありません。

また、査読は学術論文にとって重要なプロセスでもあります。

学術論文掲載を前提とした学術研究の場合、研究段階から意識しておくと良いでしょう。

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