第2回:学会委員会運営をAIで変える ~AIとの協力で出席確認を丁寧に~

2025.11.12

2025.11.12

はじめに AIに任せて効率化できる部分は?

委員会の出席確認―各種の委員会活動に携わった経験のある方なら、この作業の煩雑さを実感されているのではないでしょうか。

会員数500名規模の学会では、常設委員会5~10に加え、特別委員会やワーキンググループを含めると、事務局が管理する委員会は15を超えます。それぞれの委員会で、出席確認、欠席者への個別連絡、議事録の共有、次回日程の調整―これらの作業を「丁寧に」行おうとすると、事務局スタッフの負担は膨大です。

第1回の「第1回:会員情報の検索を変える~AIとの対話で必要なデータを見つける~」では、特化型AIツールによる会員管理の効率化をご紹介しました。もっとも、会員データベースの検索が効率化されても、日々の委員会運営業務の負担が軽減されるわけではありません。
本記事では、委員会運営という「人間関係が重要な業務」において、AIがどのように「丁寧さと効率性の両立」を支援できるのかを、具体的なツールと手順とともに解説します。

重要なのは、AIに「丸投げ」するのではなく、「人間が丁寧に対応すべき部分」と「AIに任せて効率化できる部分」を明確に区別することです。

1.AIを用いた委員会運営支援の方法

1.1.アンケートフォーム自動生成と配布基盤の構築

委員会の出席確認で最も時間がかかるのは、個別メールの作成と送信、そして回答の集計です。
従来は、事務局スタッフがメールソフトで一人ひとりに「〇月〇日の委員会にご出席いただけますでしょうか」と送信し、返信を待って手作業で集計していたと思います。
この作業を、AIとGoogle Formsの組み合わせで大幅に効率化できます。

【実践例】Google Forms+ChatGPTによる出席確認フォーム作成


ステップ1:ChatGPTでフォーム質問文を生成

ChatGPTに以下のように指示します:

『学会の「研究倫理委員会」の出席確認フォームを作成したいです。以下の情報を含めた丁寧な質問文を3つ作成してください。』
1.委員会名:研究倫理委員会
2.開催日時:2025年11月15日(金)14:00~16:00
3.開催方法:Zoomオンライン会議
4.質問内容:出席・欠席・遅刻早退の有無、欠席の場合は理由(任意)
文章は丁寧語で、学術的な品格を保ちながら親しみやすい表現にしてください。

ChatGPTの出力例:

【質問1】開催日時のご都合について
2025年11月15日(金)14:00~16:00に開催予定の研究倫理委員会にご出席いただけますでしょうか。オンライン(Zoom)での開催となります。
選択肢:
o 出席できます
o 欠席いたします
o 遅刻または早退の可能性があります


【質問2】欠席の場合の理由(任意)
差し支えなければ、欠席の理由をお聞かせください。
(例:他の業務、学会出張、体調不良など)

【質問3】代理出席のご希望
欠席される場合、代理の方の出席をご希望されますか?
選択肢:
o 代理出席を希望します(代理者氏名を記入)
o 代理出席は不要です

ステップ2:Google Formsに貼り付けて配布

  1. Google Forms(https://forms.google.com)で新規フォーム作成
  2. ChatGPTが生成した質問文をコピー&ペースト
  3. 委員のメールアドレスリストに一斉送信
  4. (Google Formsの「送信」機能)

実施に要する時間の目安:

  • 従来の方法:60分程度(個別メール作成・送信、一人ひとりの工夫が必要)
  • AI活用後:15~20分程度(フォーム生成、内容確認、配布手続き)

※ 実務的には、フォーム生成に約5分、事務局による内容確認に約10分、配布手続きに約5分を要するケースが多いです。削減率は、委員会の規模や事務局スタッフの習熟度に応じて変動します。これにより、単純計算で1回の委員会運営で45分~60分の時間短縮が見込まれ、年間12回の委員会開催では9時間~12時間の作業削減に繋がります。

【参考】

Google Forms公式サイト|Google
・ChatGPT公式サイト|OpenAI

1.2.個別対応を伴うフォローアップの支援方法

出席確認フォームを送信した後、未回答の委員への個別フォローアップが必要です。ここが「人間の丁寧さ」が求められる部分ですが、AIはこの作業も支援できます。

【実践例】未回答者への個別メール文面作成

現場で起こりやすい課題:
回答期限の3日前になっても、実務現場では5名程度の委員からの返信が得られないことが多いでしょう。個別にフォローメールを送りたいが、一人ひとりに配慮した文面を作るのは時間がかかります。

この課題に対するAIを活用したアプローチ: ChatGPTで個別メール文面を生成する

ChatGPTに以下のように指示:

『研究倫理委員会の出席確認フォームに未回答の委員に、個別にフォローメールを送りたいです。 以下の条件でメール文面を作成してください。』
相手:A委員(匿名化)
回答期限:11月10日(あと3日)
トーン:丁寧だが親しみやすく、プレッシャーを与えない表現
文字数:200字程度
【重要】ChatGPTへの入力時は、必ず委員の実名を「A委員」「B委員」と匿名化してください。

ChatGPTの出力例:

件名:【ご確認】研究倫理委員会(11/15)出席確認について
A委員
お世話になっております。学会事務局の〇〇です。
11月15日(金)開催の研究倫理委員会につきまして、ご多忙のところ恐縮ですが、出席確認フォームへのご回答をお待ちしております。
回答期限は11月10日(金)となっております。もしご都合がつかない場合でも、その旨お知らせいただければ幸いです。
ご確認のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
[フォームURL]https://forms.gle/xxxxx

この文面を、委員ごとに名前を変えて送信するだけで、個別対応の「丁寧さ」を保ちながら効率化できます。

活用事例:
従来、複数の委員への個別フォローメールを作成する際、一人ひとりに配慮した文面を考えるのに相当な時間を要していました。ChatGPTで下書きを生成してから、事務局スタッフが内容を確認し微調整する方法に変えることで、この作業時間は大幅に短縮できます。

例えば、5名の未回答委員へのフォローメール作成であれば、従来30分以上かかっていた作業が、10分程度で完了する可能性があります(効果は業務内容や習熟度によって異なります)。

【参考】

ChatGPTで効率化できる業務10選!導入事例も紹介|侍エンジニア
・【プロンプト付き】ChatGPTによる業務効率化の活用方法12個!導入企業の事例も|BizRobo!

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