主要AIツールの比較と選び方~汎用型と特化型AIの使い分けによる学会運営と研究活動のためのヒント~

2025.10.24

2025.10.24

はじめに AIって、結局どれを使えばいいの?

「AIって、結局どれを使えばいいの?」
学会事務局の方々から、こんな声をよく伺います。確かにAIツールは数多く存在しますが、学会運営に本当に役立つものは限られています。ここでは「汎用的に幅広く使えるAI」と「学会・学術業務に特化したAI」を整理し、これからの連載を読み進めるための”道標(みちしるべ)”を示します。

1. どんな業務にも使える汎用的AIツール5選

文章生成や要約、翻訳など、幅広い業務を支えるのが汎用型AIです。

  1. ChatGPT(OpenAI)
    メール文案やFAQの自動応答など、日常業務を幅広くカバー。例えば「会員への一斉案内文」を数分で下書きできます。
  2. Claude(Anthropic)
    長文処理や文脈理解に強く、議事録や規約文書の整理に有効。大量の会議記録から要点を抽出するのに適しています。
  3. Microsoft Copilot
    ExcelやWordと統合され、会員データ分析や報告書作成を効率化。普段の作業環境に自然に溶け込みます。
  4. Gemini for Google Workspace
    Google DocsやFormsと連携し、共同編集やアンケート作成を支援。委員会出欠確認フォームを自動生成するなど、即効性があります。
  5. DeepL / Grammarly
    翻訳や英文校正に特化。国際学会対応や英文抄録の品質向上に役立ちます。
【参考】

2. 学会事務局の課題に応える特化型AIツール7選

学会事務局ならではの課題に応える特化型ツールも存在します。汎用型AIでは対応しきれない専門的な機能を備えています。

  1. HubSpot CRM(無料版)
    会員管理やメール配信を一元化。小規模学会でも導入しやすく、会員データベースの整理に有効です。
  2. Otter.ai / Whisper
    音声を文字に変換し、議事録作成の負担を軽減します。Otter.aiは英語に特化した高精度の文字起こしツールで、話者識別機能により「誰が何を発言したか」を自動で記録します。Whisperは多言語対応のオープンソースツールとして注目されています。
  3. Notion AI
    過去の議事録や規約を検索・要約し、知識の継承を支援します。ワークスペース内の膨大な情報から必要な内容を瞬時に検索できるため、「以前どう決めたか」を探す時間を大幅に削減できます。
  4. Zendesk AI Bot / Dialogflow
    大会参加者からの問い合わせに24時間対応可能なチャットボットです。よくある質問には自動で回答し、複雑な問い合わせは人間のスタッフにエスカレーションする仕組みにより、効率的なサポート体制を構築できます。
  5. Tableau / Power BI
    アンケートや参加者データを可視化し、運営改善に活用できるBIツールです。参加者の属性分析や経年変化をグラフで表示することで、データに基づいた意思決定が可能になります。
  6. Canva(AI機能付き)
    広報用のポスターやSNS画像を簡単に作成できるデザインツールです。AI機能により、テキストを入力するだけで自動的にデザイン案を生成してくれるため、専門的なデザインスキルがなくても魅力的なビジュアルを作成できます。
  7. 学会バンク(国内特化型)
    会員管理や大会運営を統合的に支援する日本の学会向けオールインワン型システムです。国内の学会運営に特化しており、入会手続きから年会費管理、大会参加申込まで一元管理できます。
【参考】

3. ツール選定の視点

では、数あるAIツールの中から、どれを選べばよいのでしょうか?以下の3つの観点で整理すると、自分の学会事務局に最適なツールが見えてきます。

汎用型AI:幅広く試して基盤を作る

幅広い業務に柔軟に対応できるため、まずは小さく試すのに適しています。特に無料プランが充実しているChatGPTやClaudeは、リスクなく始められる点が魅力です。「この作業、AIに任せられないか?」と思ったら、すぐに試してみる姿勢が大切です。

特化型AI:学会事務局の課題に直結

学会事務局固有の業務には特化型ツールが効果的です。導入効果が大きく、業務フローに組み込みやすいのが特徴です。ただし、有料プランが必要な場合も多いため、無料トライアルで十分に検証してから本格導入することをお勧めします。

組み合わせ活用:二段構えで最大効果を

汎用型で下書きや分析を行い、特化型で実務定着というスタイルが最も効果的です。例えば、ChatGPTで議事録の下書きを作成し、Notion AIで過去の議事録と照合して整合性をチェックする、といった使い分けが実践されています。

【参考】

まとめ

今回のTipsは、これからの連載を読み進めるための「AIツールの地図」として位置づけられます。①汎用型で基盤を整え②特化型で実務を磨く。このことで、効率化と質の向上を同時に実現できます。
AIツールの活用は「習うより慣れろ」が鉄則です。
多くの無料プランやトライアル版が用意されているため、まずは気軽に触れてみることをお勧めします。同じ業務でも、複数のツールを試してみることで、自分の学会事務局に最適なツールが見えてきます。完璧を求めて導入を先延ばしにするよりも、小さく始めて徐々に活用範囲を広げていく方が、結果的に大きな成果につながります。
学会運営の未来を切り拓く鍵は、この二段構えのアプローチと、実際に手を動かして試してみる姿勢にあります。次回以降の連載では、具体的な活用事例とともに、より実践的なノウハウをお伝えしていきます。

【参考】

【コラム】「AIツール」と「AIエージェント」の違い

AI技術の進化により、さらに進んだ「AIエージェント」が登場しています。AIエージェントは、単に指示に従うだけでなく、自律的に判断し、複数のタスクを連携させ、あなたの意図を先回りして実行します。

《例》
AIツール:
「会費未納者リストを作って」→リストを作成
AIエージェント:
「会費未納者に対応して」→リストを作成し、督促メール文面を生成し、送信スケジュールまで提案

第2回以降の連載では、このような「AIエージェント」「エージェンティックAI」の世界へとご案内します。また、ここまでは大手プラットフォームのAIツールを紹介してきましたが、ニッチなサードパーティー製AIエージェントの紹介も行って行きます。

学術大会・国際会議開催システム「アワード」のご紹介

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