大学の研究者と企業の研究者の違いは?

2023.08.25

2024.07.31

大学の研究者と企業の研究者は、目的や予算の出所などが大きく変わってきます。この記事では、そんな大学の研究者と企業の研究者の違いについて解説していきます。

大学研究者と企業研究者は目的が違う

大学と企業の研究者の違いで1番わかりやすいものは、研究の目的が明確に違っている点です。大学の研究者は最終的な目的を論文作成に置いていますが、企業の研究者は最終的な目的を企業の利益に置いています。

企業の利益は、製品やサービスの開発や特許取得に重きが置かれており論文よりも優先度は高いです。

特に製品やサービスの開発は、利益に直結する場合が多く特許は会社の利益を守ることに繋がっていきます。また、特許を貸し出して使用料を得たり売却することで利益を得ることも可能です。

その点、論文発表や学会での発表はそれだけで直接利益に繋がることは少ないです。しかし、企業に所属する研究者の論文発表や学会発表はその企業の技術力をPRする場になることもあるでしょう。

ただ、大きな企業であれば基礎研究に力を入れている場合もあり全ての企業研究者が製品やサービスへの応用を目的とした研究を行っているわけではありません。そのため開発に興味がある研究者は、事前のリサーチが必要でしょう。

一方で、大学の研究者は論文作成や学会発表に重きを置いていることが多いようです。掲載しているジャーナルのレベルや掲載論文の数が大学教員の評価基準の1つとなっています。

ただし、大学の研究であっても工学の分野や医療の分野では製品化やサービス、特許の取得を目的とした研究を行っている場合もあるためこちらも所属する時にリサーチが必要です。

大学研究者と企業研究者は働き方が違う

大学の研究者と企業の研究者は働き方が違います。大学の研究者は、強制されているわけではないですが土日も関係なく研究室にいる人もいます。そのため、じっくり検討しながら自由に研究ができるでしょう。

しかし、企業の研究者は一企業の社員であるため営業や事務職、現場職の人と同じように労働時間を管理されています。

企業活動において1番のコストは人件費であるとも言われており、労働時間を管理するのは企業活動の一環です。

労働基準法に則して休日や労働時間、残業も企業に管理されるため時間をかけて自由に研究するというスタイルは難しいと考えられます。

大学と企業は研究で関わる人が違う

大学と企業は、研究で関わる人が違います。企業であれば、開発職やマーケティング・営業職、企画職などプロジェクトメンバーと関わることは日常茶飯事です。

また、共同研究などで大学等の研究室と関わることもあれば法規の対応で行政担当者と関わることもあるでしょう。

企業研究者のキャリアパス

企業研究者のキャリアパスとしては、以下の可能性が考えられます。

・管理職への昇進

・部門を超えたプロジェクト等のリーダー

・研究者として現役を全うする

次で1ずつ確認していきましょう。

管理職への昇進

研究職において管理職とは、研究部門全体を管理するポジションです。

主な業務としては、プロジェクトの進行管理や予算の管理、人材育成・評価が上げられます。

また、トラブルの対応や経営企画など研究部署を超えた業務もあります。

管理職は責任が重くなり、見る範囲も広くなりますがその分一般研究職に比べるとお給料が上がることも少なくありません。

今までは、自分1人が成果を上げればよかったものの管理職ともなるとチーム全体を上手く回していかなければならないため自分が思うような研究を進められないのがデメリットではあるでしょう。

部門を超えたプロジェクト等のリーダー

企業研究者は、社会の困ったを解消するために商品やサービスを開発するのが仕事です。

そのため、研究室に篭りっぱなしで自分の好き勝手に研究していてはいけません。

商品開発の過程では、生産管理や品質管理、営業など様々な部署と関わっていく必要があります。

そのため、コミュニケーション能力やタスク管理の能力も必要となるでしょう。

プロジェクトを上手くまとめていくことができれば、研究以外のスキルアップが見込めます。

研究者として現役を全うする

管理職としてのキャリアアップを見込まず、企業の研究畑を歩き現役を全うするのも1つの生き方として考えることができます。

研究者の中には、研究職から離れてマネジメントを行うことが苦痛に感じる人もいるでしょう。

特に、研究が好きで研究職についている人はこの傾向が強いと考えられます。研究者として技術を追求し会社の利益に貢献することも素晴らしいことです。

大学に戻る

企業の研究者として実績を上げた後に大学へ戻るのも研究者としての選択肢の1つです。

教授を目指し、自分のやりたかった研究をとことんやり尽くすのもよいでしょう。

ただし、大学の教員は人気が高いため募集が無いか常にアンテナを張っておく必要があります。

まとめ

企業研究者と大学研究者の違いについて解説しました。企業研究者は、会社の利益になる働き方をするのに対し大学研究者は比較的自由な研究スタイルで自分の研究成果を追い求めるようです。

以上を念頭に置いて、自分に合った研究を行える環境がベストと言えるでしょう。

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