学会のあり方とは?

2023.07.27

2024.07.31

研究成果をアピールしたり、共同研究に繋げるために参加したりと学会は研究者にとってなくてはならないものです。この記事では、そんな学会のあり方について解説していきます。

学会の意義や役割

学会は、学術研究者間のつながりを作ったり最新の研究成果を社会的に発表する場です。また、学会に所属していると学会誌などに会員として論文を掲載したりします。

学術研究者にとって学会発表や学会誌などの論文誌へ掲載することは、正式な業績となり昇進や転職の際にも重要な判断材料として使われる場合があります。

学会員減少の背景

多くの大規模学会が抱える悩みとして、会員数の減少や学術大会参加者数の減少というものがあるでしょう。そのため年次大会を開くのに予算が足りなくて苦労するという事態が少なからず起きています。

そのような状況は、若い研究者の学会離れが影響しているのも1つの要因です。また、大規模学会よりも小規模学会の方はよりテーマが絞られており専門性も高いため活気があり人が集まりやすくなっています。

もちろん大規模学会は、より多くの人とのコミュニケーションが取れる場ではありますが小さい学会の専門性の高さに価値を感じる人が増えているのも事実です。

学会の年会に対する『場』としての評価

一方で年会に参加することに対しては、比較的ポジティブな捉えられ方をしているようです。

学術研究というのは、こんな研究結果が出ているのを周りに周知したいという思いが根底にあるため学会自体を自分にとってプラスと考える人は多いでしょう。

そう考えると、より専門性の高いテーマを絞った小規模の学会の方が共感性を得られやすく居心地が良くなるのは必然と言えます。

しかし、学会はそれだけでは不十分であり自分が研究している分野以外のところにも広く目を向けていく必要があるでしょう。その中でも、大規模学会は他の分野の学術研究者と対話をしてフィードバックをもらうなどの場を提供するという意味で重要なものです。

様々な視点から学術研究に対する気づきを得られ、可能性を大きく広げるのが学会の『場』としての役割と言えるでしょう。

魅力ある学会のあり方

ここからは魅力のある学会のあり方について解説していきます。

人的なネットワークの構築がしやすい

年会や討論会などの学会発表の場は、自らの研究を披露する重要な場です。発表する側と聴講する側では、それぞれ情報を発信する側と情報を収集する側の関係にあり質疑応答をすることによりさらに深い情報発信と収集を行うことができます。

しかし、学会開催の場所が遠方で参加できなかったり昨今ですと感染症による隔離で参加できない人も中には出てくるでしょう。

そのため、当日会場に来れない人のためにリモートでの学会発表や質疑応答ができる仕組みを作っておくと良いです。

例えば、リアルの学会開催とオンラインの学会開催を組み合わせたハイブリッド学会であれば実際に現地会場に足を運ばなくても学会参加が可能となります。

どんな状況の学会員であっても人的なネットワークの構築がしやすい状況を作り出しておくべきでしょう。

学術的な討論のみに偏らない

前提として学会は学術的な意見交換の場所だということは間違いありません。学術的な討論や意見交換を通じて、自身の研究の気づきや進捗の確認を行える有益な場所です。

しかし、学会は学術的な討論の場のみという位置付けでは魅力的な場とは言い難いでしょう。

ある分野に共通の関心を持っている学会員同士がお互いに啓発できる場、もしくは特定の分野に関係している仕事に従事している学会員同士が自由に意見交換を行えるような場であることも重要です。

このような場にすることは、学会の付加価値や存在意義を高めることに繋がります。

支部などの単位で小規模な交流会を積極的に行っていくのも良いと考えられるでしょう。

個人の成長が見込める

技術や知識レベルの向上や技術を通じての一般社会への貢献は、学術研究者個人の成長があってこそ実現に近づくと考えられます。

学会発表や質疑応答、交流会などを通じて有意義な意見交換や知識の蓄積、技術の向上が行えたかが重要となるでしょう。

そのような学会にするには、やはり学会運営側と学会員が一丸となってそのような環境を作り上げることが必要です。

特に不足していると言われている若手の学術研究者や技術者にとって、成長が見込める魅力的な場にしていく事が今後の学会運営にとってポイントとなるでしょう。

デジタルメディアやSNSは学会のあり方を変えていくのか

最近では、学術研究者が様々なSNSを利用して多くの学術的なコミュニケーションを取っています。

実際にSNSを通して全く知らないところから学術的な問い合わせが来ることもあるようです。

また、zoomやteamsなどのツールにより遠隔でもすぐに集まる事が可能です。

このようにデジタルメディアとSNSの連携により学術研究者の研究スタイルや学術研究者同士のコミュニケーションスタイルが変わりつつあります。

実際に情報系の学会では、ニコニコ動画のようにリアルタイムでコメントを残せるようなオンラインでの学会が行われています。

リアルでの学会開催が主流に戻って来てはいますが、またいつ感染症の影響でオンラインやハイブリッド学会が主流になるかわかりません。

そのためSNSやデジタルメディアでの交流の場やオンライン、ハイブリッドなどリアルのみではない学会の形を選択できるようにしておく必要があるでしょう。

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