学会発表でよくある質問は?
2023.05.16
2024.07.31
学会発表には、質疑応答が付きものです。この記事では、学会発表の質疑応答でよくある質問をご紹介していきます。
質疑応答の心得
質疑応答で1番大切なことは、相手の質問の意図を的確に理解することです。質問の途中で自分なりの解釈をしてしまい、答えを作り始めるとピントのズレた回答になってしまいます。
すぐに回答しようと焦るのではなく、落ち着いて質問の意図を理解するようにしましょう。最後までよく質問を聞き、答えの要点を頭でまとめてから答えます。
また質疑応答の時間が短い学会では、より簡潔に質問に答える必要があります。饒舌に背景や関連事項から答えてしまうと、時間がかかり質問者はもちろん他の学会参加者の時間まで奪ってしまうことになるでしょう。
まずは、相手の質問に簡潔に答えたうえでどうしても必要な場合だけ補足説明を行なってください。
よくある質問
ここからは、学会の質疑応答で良くある質問をご紹介していきます。
根本の質問
既存の研究とは何が違いますか?
オリジナリティや学術的貢献は?
これらの質問は、発表者の行なった研究と既存の研究の具体的な違いが質問者へ伝わらなかったことを意味します。この質問に対しては、既存の研究との違いを明確に説明し強く強調すると良いでしょう。
具体的にこの研究は何に役立ちますか?
この研究にはどんな需要がありますか?
これらの質問の意図は、質問者の純粋な疑問か研究の意義に対して疑問があるかのどちらかが考えられます。どちらにせよこの質問をされないように発表の際は、研究背景などであらかじめ説明しておく必要があるでしょう。
研究の意義を根底から否定されてしまうような質問になってしまうため、具体的な例を示して研究の意義や正当性をしっかりと説明する必要があります。
前提や過程における質問
どんなユーザーが使う想定ですか?
何かシステムを開発した場合は、知識や経験のない一般的なユーザーが使用することを想定しているのか、専門的な知識を有し長年の経験があるプロのユーザーが使用することを想定しているのかでシステムの設計方針が変わってくるかと思います。
想定するユーザーと想定するユーザーが使いやすいように行なった工夫点などを述べると良いでしょう。
この研究はどのように評価しますか?(評価方法を明らかにしていない場合)
研究の完成に近づいているかどうかを判断するのには研究に対しての評価が不可欠です。数値的な判断なのか『できたorできなかった』なのか被験者を立てて実験をし、アンケートを取ることで評価するのかなど具体的な評価方法を示すようにしましょう。
関連する研究や資料に関する質問
この研究は〇〇という分野に近いですが調べましたか?
少し古い参考文献ですが最新の手法は調べましたか?
〇〇という研究と同じように感じられますが調べましたか?
このような質問では、質問者は一見質問をしているようですがオブラートに包んで調査不足を指摘しています。実際に調べており、相手も納得できるような回答を用意できていれば別ですが特にないのであれば素直に調査不足を認め指摘してくれたことに対して感謝を述べておくのが無難でしょう。
結果に関する質問
既存の手法とどのくらい差がありますか?
比較することは研究結果の評価をする際に重要です。競合する研究があればデータや結果を比べておきましょう。様々な質問に対応できるよう必要に応じて予備ページを作成しておくとさらに良いです。
グラフの見方や比較結果の違いがわかりません。どのように見れば良いですか?
発表のスライドに挿入してある図やグラフ、表や比較結果などがわかりづらい場合注釈や説明書き、結論を書いておくなど工夫して誰にでもわかりやすくしておくことが必要です。
課題についての質問
現状においてボトルネックは何ですか?
この質問は質問者が聞きやすい質問であると言えます。現状においてのボトルネックはしっかりとまとめておき、グラフや表を用いながら回答できるとわかりやすいです。
ボトルネックを解消する方法もあわせてまとめておくと良いでしょう。
この研究をどのように発展させようと考えていますか?
やり残している部分もあるのでそこを重点的にやっていきたいなどの機能改善的な話ではなく、自分の理想としてはどうしていきたいか、その理想を実現するためにどうすれば良いかを回答すると良いでしょう。
提案している手法の失敗例はありますか?
提案手法に関しての限界値や制限に対する質問です。あまり提案手法に対してネガティブなことを言いすぎないようにしつつ、改善点も交えながら前向きな表現で回答できると良いでしょう。
予備ページに失敗する例を挙げておき、その失敗結果を記入しておくと質問に対応しやすいです。
まとめ
学会における質疑応答は他の研究者や専門家との大切なコミュニケーションの場です。想定できる質問はしっかりと対策しておき、有意義な研究発表の時間にしていきましょう。