学術論文の著作権とは?
2024.05.25
2025.02.17

著作権は、作品を作り出した人が有する権利のことを指し、学術論文の作成者も著作権を有することとなります。
この記事では、そんな学術論文の著作権について解説していきます。
著作権の概要
著作権とは、作成者が自らの作品に対して持つ権利であり、他人による無断利用や複製を防ぐことを目的としている権利です。
この権利は、作成者に対する保護と、作品の公正な利用を両立させ、文化の発展に寄与します。
論文の無断使用など、著作権が侵害される例では、論文の作成者が利益を得られなくなり、意欲が低下し研究の発展が阻害されます。
著作権法は、このような問題を防止するため、作成者の権利を確保し著作物を保護しています。
ちなみに著作権は、作品が創作された瞬間から自動的に発生します。
高い独創性は必要ではありませんが、作成者の個性が表現されていることが求められます。
また、特許や商標と異なり法的手続きは不要です。
著作権で保護される作品には、小説、曲、絵画、映画、写真、プログラムなどが含まれます。
もちろん学術論文も著作権法で保護されるものとなります。
保護期間は、一般的には著作者の死後70年間です。
共同著作物や特定の著作物には例外がありますが、原則として作品の公表後70年間が保護されます。
以上のように、著作権は作成者の権利を保護する重要な制度です。
学術論文における著作権の歴史
学術論文の著作権の考え方は、歴史とともに変化しています。
この記事では、そんな学術論文における著作権の歴史を解説していきます。
初期の学術論文と著作権
著作権という概念は、科学技術や医学分野の学術雑誌には長い間存在していませんでした。
この分野では、学術文献は研究成果を他の研究者に明確に伝えるための手段であり、文献そのものの著作物としての価値は重要視されていなかったのです。
学術論文の主な目的は、できるだけ多くの同僚の研究者に読んでもらい、自分の業績として正しく評価されることにありました。
そのため、著作権料などの見返りは考えられていませんでした。
著作権と科学的事実
学術論文に記載される科学的事実は、著作権の関知するところではありません。
例えば、実験結果の記述は誰が書いても同じようなものになるため、創作性が認められないとされています。
2005年の大阪高等裁判所の判決では、指導教授が原告の著作物を複製・翻案して発表したことが著作者人格権の侵害に当たらないとされています。
このように、学術論文と文芸的な著作権とは必ずしも一致しない面があります。
コピー技術の発展と著作権
1970年代に乾式複写機が登場し、1980年代にはオンライン検索が普及することで、学術文献の複写が容易になりました。
この結果、図書館以外での文献複写が急増し、出版社は著作権収入に注目するようになります。
そのため、出版社が著者から著作権の譲渡を受けることが一般化していきました。
著作権法の変遷
米国では1976年の著作権法改正により、著作権は登録方式から発生主義(無方式主義)に変更されました。
これにより、著作物が創作された時点で自動的に著作者に権利が発生することになり、出版社が著者から強制的に著作権の譲渡を受けない限り、著者に著作権が残ることになります。
このため、出版社はビジネスが困難となり、著作権譲渡方式がさらに普及しました。
現代の著作権管理
電子ジャーナルの普及により、出版社による著作権管理が重要性を増しています。
例えば、日本では電子ジャーナルによる公開は「公衆送信権」に該当し、著作権権利者の許諾が必要です。
科学技術振興機構が運営するJ-STAGEでは、過去の論文を電子化する「電子アーカイブ事業」を開始し、その際に過去の論文の著作権の集約が必要となりました。
学術分野と著作権譲渡の差異
人文科学・社会科学のように、文章そのものが学術的および著作的価値を持つ分野では、著作権譲渡の習慣は限られています。
特に文芸作品では、著作権譲渡はほとんど行われず、出版許諾契約が一般的です。
これに対し、科学技術医学分野の学術出版における著作権譲渡は非常に特殊な現象といえます。
オープンアクセス雑誌の著作権は?
利益ではなく、オープンアクセスを目的としている出版社は、著作権は著者に帰属しているという考え方から、譲渡は要求していません。
これまで科学技術論文の研究データは著作権の対象外とされ、出典を明記すれば自由に引用できるのが慣行でしたが、図表や写真は出版社の許諾が必要でした。
オープンアクセス雑誌は、これらも自由に利用できるようにし、商業利用も認めています。
まとめ
学術論文にも著作権あり、研究者の権利は守られています。
学術論文の著作権についてしっかり知ることで、他の研究者及び自分の権利を守ることにも繋がるでしょう。
参考URL
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