学会発表のテーマ決めはどうすれば良い?

2024.01.12

2024.07.31

学会は同じ分野の他の研究者と交流しながらの意見や議論の交換のできる貴重な機会です。ただ、いざ自分が発表をする立場となった場合、そもそも研究テーマを見つけるためにどこから始めればよいか、どのような要素を考慮すべきかが分からないと、気が遠くなるかもしれません。この記事では、充実した発表を行うための研究テーマを見つけるヒントをご紹介していきたいと思います。

テーマを決めるためには

全てを一から考える場合、以下のステップを意識してみてください。

自分の興味を深掘りしてみる

テーマを決める第一段階として一番重要なのは、「今の自分の興味がどこにあるか」です。

関心の深さによって、物事を考えたり検証する際の深度も変わってくると思います。

テーマに関連する論文を読む、仮説を検証するためのデータをとる、どれも時間も根気も必要な作業です。

関心を持ち続けられるかどうかは、研究テーマを決める上で重要な動機づけといえます。

そして、その分野の中で具体的な研究テーマについての焦点を絞っていきます。

関心があるテーマをより具体化していく

次に、自分の関心から研究テーマを具体化していくためのアプローチを考えてみましょう。

日々の疑問や困っていることなどを書き出してみる

自分の関心のあることについて、疑問に思っていることを書き出してみましょう。

特に自分の関心が臨床の現場にある方は、そこで生じた困ったことや現在かかえている問題などががテーマ決めの近道になるかもしれません。

既存の研究を調査する

興味の対象について、PubMed、IEEE Xplore、Google Scholar、JSTORなど信頼性のあるデータベースを検索してみましょう。

最新の研究やその流行を把握することで、世の中で関心の高い問題やこれから必要になる研究、またはそれにどんな課題があるかなどを理解することができます。

その中にある未解決の問題やギャップを見つければ、それがそのまま研究テーマになるかもしれません。

対象分野に特化したデータベースを利用すると、より効果的に情報を見つけることができます。

批判的に物事を考えてみる

人の関心を集めるテーマにするためには、当たり前だと思っていることを疑ってみることも必要かもしれません。

著名人が書いた専門図書や研究論文であっても、有名なジャーナルに掲載された実験結果に書いてあることであっても、全てが絶対的に正しいものはありません。

日々行なっていることでは、なぜその工程が必要なのか、それが本当に正しいのか、研究論文では、仮説の立て方やデータ分析方法、角度を変えれば違う側面が見えてくることもあるのではないでしょうか。

物事を多様な側面から批判的にみてみることも、研究テーマを探す上では有効な考え方と言えるでしょう。

同じことでも人によって感じ方も見え方も違います。それが研究テーマの独自性に繋がることもあるはずです。

考慮すべきこと

研究テーマの方向性が具体的になってきたら、その研究を進めるにあたって事前に考えるべき事項をチェックしてみましょう。

以下の3つのベクトルを念頭において、そのどれにも偏らずにうまくオーバーラップするようなテーマを選択することが、情熱をもって研究を進め、また学会発表自体を成功させるカギになるでしょう。

やるべき研究

その分野において話題性のある、もしくは誰かがやる必要のある重要で価値のある研究です。

ひとつの研究が、分野全体に広範な影響を与える可能性があります。

他の研究者の知識のギャップを埋めたり、進行中の議論に貢献したり、新しい洞察を提供することでこの分野の進歩に貢献できます。

やれそうな研究

研究のための適切な調査ツールがあるかどうかや、研究に有効な文献や情報へのアクセスのしやすさ、そしてその研究のために必要となる時間も重要なポイントです。

実現可能な見通しがあるかどうかでモチベーションも変わってくるでしょう。

やりたい研究

テーマ探しの前提である自分の興味関心をもとにした追究したい研究です。

行き詰まってしまった時はアドバイスをもらおう

もし行き詰まってしまった時は、同僚や上司、友人などと検討しているテーマについてブレインストーミングをしてみるのはいかがでしょうか。

その時に、自分に近い思考の相手ではなく、全く別の考え方をする相手にも意見を出してもらうことが重要です。

第三者の意見や見え方を取り入れるというメリット以外にも、自分の中にある思考を整理したり、顕在化するという効果もあります。

自分のことは案外自分ではわかっていなかったりするように、好きすぎたり近すぎたりすると見えないこともあるかもしれません。

第三者の視点が大きな思考の転換になる可能性もあります。

まとめ

研究テーマの選び方は人によって様々で、また試行錯誤が必要であり、今回のステップが万能のプロセスではありません。

発表をすることになったからと急にテーマを思いつくものではないでしょう。

発表する機会がない時にも意識的に日々の業務や臨床に取り組んで気になったことや気づいたことをストックしておくことが一番の近道であるはずです。